映画祭レポート⑦/マスタークラス 橋本麦「ハッカー的態度と映像制作」


 
 映画祭2日目、映画祭の2018年度公式トレーラーを制作し、ミュージックアニメーションコンペティション特別審査員も務める映像ディレクターの橋本麦さんが、自身の映像制作のルーツを語るマスタークラス「ハッカー的態度と映像制作」が開催された。
 
 冒頭、これまで制作した作品集を上映。作品ごとの制作背景を簡単に解説した。group_inou『EYE』では、Googleストリートビュー上を歩行するようなイメージの映像にするため、専用の撮影システムを自作。またOlga Bell『ATA』でも、撮影した写真に独特な加工をするためのソフトウェアから自作し、「その結果、作品ごとに異なる制作手法をとることが自分のスタイルになった」という。
 

 

 
 2018年度公式トレーラーでは、手描きや粘土、CGなどアニメーションの様々な技法を織り交ぜたような質感を求めた。橋本さんは「絵が下手なのになんでオファーがきたのか…」と会場の笑いを誘い、様々な方法を試すが、効率的な作り方が実現できないため、ここでもアニメーション制作ソフトウェアを2週間かけて自作することに。
 

 
 なぜ、このように「作り方から作る」スタイルになったのか。橋本さんは球体幾何学の成り立ちを例に挙げ、「ルールの根幹(作り方)から変えることで、自ずと新しい作品の作法が生まれる」と説明。そして「作り方のオリジナリティが作品のオリジナリティになっている状態が好き」と語った。また映像制作のルーツとして、高校時代のエピソードを紹介。放送部で参加した番組コンテスト内で“高校生らしさ”を求められていると感じた中で、あえて“高校生らしくない”作品を制作。数名の審査員から苦言を呈されるも最優秀賞を受賞した。この時の経験から、「異質なスタンスの作品は無視しづらいものになると学んだ」という。
 

 
 今後の展望として、「今は映像ソフトウェアの制作に興味がある。画像の類似度をもとにしたアニメーション制作に注目しており、今後の作品に使用していきたい」と明かした。また質疑応答で、「映像制作する上で、“新しい技術(作り方)”を先行して思いつき制作するのか、または作品のイメージを表現するために“新しい技術”が必要になるため新しい技術を開発するのか」という質問には、きっぱりと「“新しい技術(作り方)”が先です」と解答。「学校では“技術は表現のためのものだ”と教わるが、(私のように)技術を先行して考えるスタンスが一人ぐらいいてもいいのでは」と語った。
 
○「ハッカー的態度と映像制作」スライド
https://www.slideshare.net/BakuHashimoto/new-chitose-2018-121674926