映画祭レポート⑤/スペシャルトーク GIFMAGAZINE「GIFアニメーションの今、その魅力」


 
 映画祭3日目。日本で最もGIFを愛する男、株式会社GIFMAGAZINE創業者であり代表取締役社長の大野謙介さんをゲストに、コミュニケーション手段としてのGIFアニメーションについて語る、スペシャルトーク GIFMAGAZINE「GIFアニメーションの今、その魅力」が開催された。
 
 株式会社GIFMAGAZINEは、誰でも簡単にGIF動画を投稿できる日本最大級のGIFプラットフォーム「GIFMAGAZINE」を運営。若年層を中心に月間のコンテンツ総再生回数1.6億回、月間アクセスユーザー数150万人以上と大きな成長を続けている。
 

 
 冒頭、コラボレーションしてGIFの制作を行う「GIFMAGAZINE公式クリエイター」の一部を紹介。瀬川三十七さんの作品は、トラディショナルな世界の浮世絵に、ミスマッチなGIFアニメーションを持ち込んだ独特な世界観を形成。その他、ドット絵のGIFアニメーションを作成するモトクロス斉藤さんや、SNSで話題のmisato.さんなど、最前線で活躍しているクリエイターを紹介した。
 
 さまざまな企業のGIFプロモーションはどのように行われているのか。一例として、自動車メーカーSUZUKIとコラボレーションした作品については、「GIFアニメーションのループする性質に注目し、作品内にクイズ要素を加えることにより長時間閲覧してもらえるようにしている」と、GIFアニメーションならでは表現を用いた広告手法を展開したという。
 

 
 世代別のGIFアニメーションの認識の違いについて、「30代以上は形式としての”ファイルフォーマット”と認識している人が多いが、10代の若者は“容量の小さい動画”と認識している人の方が多い。現在では”ファイルフォーマット”という認識は薄れ、“短い動画”というポップカルチャーやコミュニケーションの手段として浸透しつつある」という。さらにその背景をコミュニケーションの歴史から解説し、「伝聞や手紙から始まりLINEまで進化したが、進化は“情報の速さ・届く距離”と“情報の保存”、そして“情報量”の3つが鍵になっている。今後は、誤解のないコミュニケーションのために感情などが含まれた“情報量”の多い手段が重宝され、GIFアニメーションが広まっていくのではないか」と今後の展望を語った。
 

▲映画祭期間中、国内線2階センタープラザでは、誰でも参加できる「空中浮遊GIFワークショップ」ブースを出展。
 
 質疑応答の場では「FlashやPNGなどアニメーションのフォーマットは多岐にわたるが、なぜ色彩などの制限が多いGIFアニメーションに注目しているのか」と質問があった。大野さんは、「GIFアニメーションは登場からかなりの時間が経過しているので、Flashなどと比べ動画安定性の面で秀でている」とテクニカル上のメリットを述べる一方、「制限された中で出てくるGIFアニメーションの”ポンコツ感”がたまらなく好き」とGIFアニメーションへの愛の深さを伝えた。